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「手洗い」、「マスク」は最強の武器!「ばい菌遊び」から学べること。
「手洗い」、「マスク着用」そして「ソーシャルディスタンス」という、新しい生活様式を取り入れながら、通常の暮らしに戻り始め1カ月余り経過した。ここ何日か、東京での新規感染者は三桁となり、第2波到来か?!との報道を、連日、耳にするようになった。そう、湿度に弱い(注*)といわれていた「コロナウイルス」でも、のうのうと梅雨のこの時期、私たちの生活圏の中で生き延び、虎視眈々(こしたんたん)と人間の住処(すみか)を狙っているのです。
(注*:新型コロナウイルスと共通性の高いSARSコロナウイルスを用いた温湿度実験によると、湿度50%(室温20℃)で高い不活化みられた(米国微生物学会より)。つまり、湿度が高くても低くても、コロナウイルスの活動を抑えることは期待できません。なので、冷房(除湿)を頻繁に使う夏場でも、湿度管理は徹底しないといけないですね。)
Withコロナが一般化してきた中、東京大学の発達保育実績政策センターが行った調査**(朝日新聞デジタル‐6月6日掲載)によると、【感染拡大防止のために実施したこと】の1位に、「行事の中止(91.6%)」が、それに続くこと、第5位に「戸外活動の自粛(35.5%)」が挙がっています。
【感染予防対策として実施していること】の第2位に、「職員の手洗い・手指消毒の徹底(94%)」、第3位に「職員のマスク着用の徹底(91%)」、そして第5位に「園児の手洗いの徹底(90%)」と、厚生労働省が提言している
「一人ひとりの基本的感染対策3つの基本」のうちの「手洗い」と「マスク着用」の2つが保育施設での取り組みの上位にランキングされていました。
**「保育・幼児教育施設における新型コロナウイルス感染症に関わる対応や影響に関する調査」より
この調査結果のように、園児に対しても、「手洗い」の徹底がされている中、園児側からみたらどうなのでしょうか?「外出制限=外で遊べない」、「在宅勤務=保護者が家にいる」、「園の休園」と激変した生活を強いられてきた子ども達なので、当然「コロナが悪いことしてる」ということを認識してるとは思います。が、頻度が多くなった手洗いとマスク着用を、やらされているのではなく、子ども達自身が「納得」して「自分から行動」できるようにならないと、長いスパンで戦うコロナには勝てません。その武器には、「手洗い」「マスク着用」のタッグが必要なんだと、子ども達に、今一度理解してもらいたいですよね。
子どもたちも楽しくできる手洗い遊び
今回は、手洗い教室という学び色が濃いものではなく、こんな、「遊び」を提案したいと思います。
実際、これは、日本ユニセフ協会主催のプロジェクト「10月15日世界手洗いの日」から、正しい手洗いを知ってもらう活動にあったものです。
手洗い遊び①
先生:水の入った水槽(水の色がわかるものならバケツでもよい)2つを用意します。1つは、園児たちの手を入れ洗ってもらう水槽とし、もう1つは何もしない。
園児:戸外で「どろんこ遊び」や「お砂場遊び」をおもいっきりしてもらいます。
園児:一人ひとりの両手を水槽に入れ、ゴシゴシしてもらいます。(水槽の水が泥だらけになっても、園児の手の泥が落ちなくとも、みんな手を入れゴシゴシしてもらいましょう)。
先生:みんなが手を入れ、ゴシゴシした水の入った水槽と、手をいれない水槽の中の水を園児たちに比べてもらいます。ばい菌は目に見えないけど、園児たちが手を入れた水槽の水は、濁って汚いことがわかります。つまり、泥の中にも、ばい菌(破傷風菌などの微生物)はいますが、泥をバイ菌にみたて、どろんこ遊びをした手は、「こんなにも汚いんだ」ということを視覚的に理解させることができ、手洗いが大事ということを納得してもらうことができます。
手洗い遊び②(マスク着用の必要性も理解)
先生:水に浸した脱脂綿をいっぱい用意してください
幼児:マスク着用なしの状態で、戸外でおもいっきり遊んでもらいます(ソーシャルディスタンスを確保)。その後、先生が用意した脱脂綿で、手を拭ってもらいます。
もちろん脱脂綿には、手の汚れが移って、目で汚れ(バイ菌)を確認することができます。続けて、少しきれいになった手で、口や鼻を脱脂綿で拭ってもらってください。手と同様、脱脂綿に汚れが移っていたのなら、汚い手で何度も口や鼻(顔)を触っていることがわかります。
先生:手の汚れが移った脱脂綿を見ることで、子ども達に手洗いの必要性が理解できます。そして、口や鼻の汚れが移った脱脂綿を見せることで、マスクは、汚い手の接触が防げることを理解させてことができます。
手洗い遊び③(マスク着用の必要性も理解)
先生:幼児1人あたり、3枚のパンとそのパンを密閉できる袋(ジップロックなど)を用意してください。密閉袋の中に、パン1枚を入れます。密閉袋に入れたパンを、すべてで電子レンジ加熱し滅菌しときます(パン上にある菌を殺菌する行為)。
幼児:マスク着用なしの状態で、室内や屋内で、いろんな遊びをしてもらいます(ソーシャルディスタンス確保)。その後、一人ひとり、①パンが入っている密閉袋に片手を入れ、手をフリフリしながら「ギュー」と軽く、パンを押し潰してもらいます(2~3秒)。②別のパンの入った密閉袋には、パンにお口とお鼻を「ギュー」と軽く押し当ててください。③残りのパンの入った密閉袋には、手洗い後の手を①と同様に行ってください。
(先生は、①~③の作業すべてに、手袋を着用し、手伝ってください。袋内に空気があまり入らないようテキパキ行ってくださいね)
① 手洗い前のパン、②口と鼻のパン、③手洗い後のパンそれぞれのばい菌(かび:真菌)の発生を経過観察していきます(教室内に展示などしてください)。以下の写真を参考にしてくださいね。(この写真は32日経過したものです)
(注:園児が耐えられる程度のばい菌(カビ)量が適当です)
埼玉県加賀市保健委員会、「手洗い実験」より
埼玉県保健委員会の結果から、手洗い前のパンには、ばい菌(カビ:真菌)が確認できますね。
園児たちが行った結果はどうでしょうか?口と鼻ではどうなると思いますか?想像してみてください。
園児たちの結果にも、手洗い前のパンや、口の鼻のパンにカビが生えてきたなら、手洗いやマスクをすることで、ばい菌の侵入が防げることを学べますよね。普段、園児たちが食べるパンを使うことで、「手を洗わないで、パンを食べたら、お腹の中に、こんなばい菌が入っちゃう」ことを、リアリティをもって理解できるのです。手洗いしたパンに、カビが生えていなかったら、園児たちも、納得して、手洗いとマスクを積極的にしてくれるでしょう。
「百聞は一見に如かず」です。①~③の遊びを通して、ばい菌を確認してくださいね。
まとめ
小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状より、小児患者では、鼻咽頭より便中に長時間かつ大量にコロナウイルスが排泄されたとのから糞口感染は、小児には特に注意が必要との報告もあります(日本小児科学会)。だからこそ、「手洗い」、「マスク」がいかに大事なのか、おわかりになったと思います。ちなみに、世間を混乱させていた、次亜塩素酸水は、手の消毒には不適です(やはりエタノールがよい)。物の消毒に効果を発揮しますので混乱しないで下さいね。
長期戦となったコロナとの戦い。あなたもこの武器(手洗いとマスク着用)を子ども達と一緒に持ってください。
(文責:小田原短期大学 准教授 医学博士 三浦由美)
参照ページ(外部リンク)
新型コロナウイルス感染症に伴う乳幼児の保育・生育環境の変化に関する緊急調査
(東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター)
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