第7波で急変!子どものコロナ症状とは? ~けいれんとワクチンについて~ | ももいくジョブ

BA.5の猛威!第7波

7月に入り感染者の約3割が10歳未満*と、従来の新型コロナウイルス感染者の様相を一変した。その要因となっているのが、感染力の強いオミクロン株の1つ「BA.5」と小児ワクチン接種率の低さ(5~11歳:1回目(17.9%)2回目(16.6%)**)であることは言うまでもない。 この「BA.5」は第6波の主流であった「BA.2」と比較して、実行再生産数(1人が何人に感染させるかを示す)では1.27倍高く(京都大西村教授の推計より)、ヒト肺細胞を使った実験では18.3倍多い(東京大医科学研究所の佐藤教授より)という報告にもあるよう、ただの風邪を引き起こすウイルスと考えるのは極めて危険であり時期尚早である。 では、子どものBA.5の症状はどんなものか?見ていこう。

小児の特有症状(クループ症候群・熱性けいれん)

肺炎が少なく、「クループ症候群」と「熱性けいれん」が目立つとメディア登場の小児科医は声を挙げている。 【クループ症候群】

「クループ症候群」とは、喉頭(声帯付近)気管気管支炎の総称であり、主にRSウイルス感染によって引き起こされる上気道炎症(浮腫による狭窄)を指す(もちろん総称なので、広義的には上気道狭窄状態の“誤嚥”もここに含まれる)。 特徴として、息を吸うときに生じる異質な呼吸音(オットセイが鳴くような)または、ケンケンと犬吠用(けんばいよう)の咳が観察でき、多くは、気道の閉塞が生理的***に起こる夜間時にみられる(会話は可能)。***副交感神経が優位になるので これは、上気道閉塞特有な呼吸音なので誤嚥窒息による危機サインとして覚えとくことも、子ども命を預かっている保育者にとっては大事(厳密には、“吸気喘鳴”として観察できる)である。 新型コロナウイルス感染症は多様な変異株と罹る人によって、発症の症状と程度が大きく異なるのが特徴でもある。 このため、クループ症候群であっても新型コロナウイルス由来である場合、呼吸することすらままならなくなることもあり得る(空気の通り道が狭窄炎症してしまうので)。この最悪な事態を回避するため、あの特有な呼吸音や咳がみられたら直ぐに受診し、気道(気管)の狭窄を解くアドレナリン(気管支拡張剤)と、炎症を抑えるステロイドの吸入処置をしてもらうことが必要となってくる。

【熱性けいれん】

急激な熱の上昇が原因として生じる「熱性けいれん」は、“6~6単純型”で覚えとわかりやすい。 『熱性けいれん(単純型)』 ① 生後6カ月~6歳未満で好発 ↑6歳以上になると急激な熱上昇でも脳が対応できるようなるため ② 筋肉が硬直(背が弓状に、突っ張り、上肢が伸展する)、間代(上肢がガガクと動き左右対称にみられる)する。 ↑左右対称の動きは大事なサイン! ③ 呼吸困難よりチアノーゼがみられる ↑呼吸停止ではない!直ちに心肺蘇生が必要ではない! ④ 眼が上転し白目になる ⑤ 意識が乏しい(意識応答がないからとって、心肺停止ではない! 意識がある場合もある ⑥ けいれん発作後はすぐに正常(泣く等)に戻る ⑦ 10分以内で収まる(5分以内がほとんど)

再発因子

①遺伝:両親いずれかの既往歴がある場合、50%再発 ② 1歳未満での既往歴 ③ 39度以上の発熱

園や家での対応

①衣服を緩める ② 横向きに寝かせる←回復体位ができる年齢であればそれがベスト!けいれん発作後に嘔吐が生じる場合があるので、吐しゃ物を気管に詰まらせない体位 ③ 口の中には何も入れない←吐しゃ物の排出が妨げられることで誤嚥窒息に繋がるから ④ 時間を確認(慌てず、発作開始の時刻をチェックする!これは救急搬送の基準となる)

119番要請の目安

① 10分以上続く発作 ② 発作消失後に再びけいれんが出現 ③ 左右非対称の間代発作(上肢のガクガクとした動き)

熱性けいれんによる脳の後遺症

単純型の熱性けいれんであれば問題はないが、複雑型の場合は時として後遺症に至る危険性がある。 『熱性けいれん(複雑型:無熱性けいれん《てんかん》、脳炎、髄膜炎)』 ① 6カ月未満、6歳以上の発症 ④ 左右非対称の動き ⑤ けいれんが15分以上続く ⑥ 24時間以内に2回以上の発作

このような出現は、脳炎や髄膜炎を患っている可能性が高く、その予防には、やはりワクチン(ヒブワクチン、小児肺炎球菌、ロタウイルス等)の接種が鍵となる。

日本とワクチンと新型コロナワクチン

獲得免疫をつけるための最大な近道は「ワクチン接種」である。 日本のワクチンには無料(公費負担)の「定期接種」と自腹の「任意接種」の2つがあるが、いずれのタイプでも「義務ではない!」ことの理解が大事になる。 ここで簡単にイメージしてみることにする。 《定期接種は、行政が、打ってください!打ってください!と接種をゴリゴリに提示してくる感じ。一方、任意接種は、打ってください!と接種機会を提示しているだけ》 押しの強さが努力義務の定期接種で、それが無いのが任意接種である。 だから、接種するもしないも、保護者の考え次第で決まる。 新型コロナウイルスワクチン(5歳~11歳までが接種できる小児用ファイザーワクチンも)はもちろん任意接種(国が“努力義務”に引き上げようとしている)であるが、感染症法の第2類相当(新型コロナウイルス感染症:COVID‐19)なので定期接種同等扱いの公費負担となっている。 5歳未満で接種できない、または接種できる年齢ではあるがワクチンに不安を覚え接種していない子どもの多くが、第7波BA.5のターゲットとなり、多くの感染者を出してしまっている現状を考えると、今、以下2点が保育者として必要なスタンスと思われる。 1:ワクチン接種が可能な子をもつ保護者から「ワクチン接種の是非について」質問があった場合

→園で集団感染を引き起こさない(新型コロナウイルス感染症に限らず)スタンスにたってワクチン接種を推奨していく立場にある(ただし、保護者の考えを尊重することも保育者のスタンスである)。 「ワクチン接種→熱→熱性けいれん」という因果関係は、医学的に認められてはいるが、ワクチン由来の熱からも、ウイルス感染由来の熱からも「熱性けいれん(単純型)」が起こる可能性はある。ただ、熱の処理が未熟ゆえに起こる「熱性けいれん(単純型)」である場合、無駄に恐れないよう、対応などを含め保護者に教えてあげることが必要である。

因みに、「熱性けいれん」が起きた場合、ワクチンが打てるのかと?」いう保護者からの質問には、こう応えるとよい。 「熱性けいれん」経験者には、接種を推奨しない医師もいるにはいるが、『熱性けいれん診療ガイドライン』によると、 〇現行の予防接種は実施しても構わない(新型コロナワクチンは必ず医師に相談すること) 〇熱性けいれん後から次の接種まで最大でも2~3カ月に留める【熱性けいれんが起こることを恐れてずっと接種しないということではない】 2:新型コロナに罹患したくない!

ここまで新型コロナウイルスBA.5が蔓延っている現状では、その病原菌を根こそぎ殺菌していくことは不可能である。 そこで感染経路の遮断、そう“エアロゾル”のノックアウトが大事になってくる。 エアロゾルは、空気中に3時間程度フワッフワッと漂っているとの報告もあるが、そのエアロゾルをサーキュレータなどの風力を利用して、外に押し流す(換気)ことが簡単ではあるが理にかなっている策なのである。 しかし、ここできちんと覚えておこう!「換気」は空気の入れ替えのことであり、換気しながら飛沫感染対策の“マスク”を外して長時間おしゃべり等していたら、安心とは言えないことを。 (新型コロナウイルス感染症対策として表だって“うがい”が言われていない理由がこのエアロゾルである。「うがい」や「歯磨き」の後の「ペッ!!」は湿度の高いお風呂場で行うことも賢明である) ゆうデンタルクリニック エアロゾル感染と空気感染の違い *感染症法第2類相当扱いなので、「感染者の全数把握」が求められている。これにより、割合などが算出できる **年齢階級別接種率より 首相官邸HP 7月19日時点

(文責:小田原短期大学 医学博士 准教授 三浦由美)

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