~マスク熱中症対策~長雨・酷暑そしてCOVIDー19…非常事態だらけのこの世界から身を守るために | ももいくジョブ

~マスク熱中症対策~ 長雨・酷暑そしてCOVIDー19…非常事態だらけのこの世界から身を守るために

テレビを見ながら、この原稿を書き始めようとした矢先、『東京 、新型コロナウイルスの新規感染者、過去最多”472人”』との速報 が流れた(8月1日時点)。徹底して感染予防しているのに、どうして……??。 市中感染が確実に広がっていると、不安と嘆きを、あなたも感じているのではないでしょうか? 地球温暖化の影響なのか、東京での7月日照時間は、47.6時間と、ほぼ毎日雨が降り、局所的に災害レベルの豪雨(令和2年7月豪雨)にみまわれながらも、COVID-19の伝播の脅威は衰えない。マスクをできる限り着け、手洗いもして、日々頑張っている、あなたと子ども達。 ただ、このおかげもあってか、高温多湿の夏に流行るエンテロウイルス属由来の夏かぜ症候群の感染症、「手足口病」や、乳幼児に罹患しやすい「ヘルパンギーナ」の患者数が大幅に低水準を示した(国立感染症研究所報告)。このような報告は、何より、「手洗い」で感染症をコントロールできたとの証となり、更に「手洗い」を続けていく意欲にも繋がっていく。 COVID -19 に関しては、未だコントロールしきれていない現状の中で、その最大の予防策の1つが、夏場には過酷すぎる「マスク着用」である。

マスク着用は熱中症リスクになる

この、「マスク着用」。梅雨が明け、気温が急に高まるこの時期、「熱中症」の危険性を更に高めてしまう。特に乳幼児は、以下の観点から、特に留意が必要である。 ① 体温調節中枢(脳)が未発達なため、暑さを判断できない。そのため、皮膚血液量・発汗量を増やすことができず、発汗からの気化熱によって、熱を放出させることを得意としていないので、体温が上がりやすい特徴をもっている(湿度が高い環境でも汗が気化せず、熱が下がりにくい)。 ② 体液量(新生児80%、乳児70%)が多い分、汗をかきやすく脱水しやすい(汗をかく割りには、熱の放散が上手にできない)。 ③ ヒートアイランド化した地面に近い環境にいる。 ④ 水分貯蔵量の多い筋肉(筋繊維が細い)が少ない。 ⑤ 自分の症状を言葉としてうまく説明できない。 ⑥ 呼気で熱放散を行う(皮膚からの発汗による熱損失を得意としないので)が、マスクをしていると、呼気がマスクの中に留まり、体温が上がりやすい。加えて、自身の吐いた呼気(二酸化炭素)を吸うことにもなるので、頭痛の頻度も高まる。 前のブログにも記しましたが、2歳未満の乳幼児は、呼吸が苦しくなり窒息の恐れあるのでマスク着用には、保護者や周りの大人が注意してください(日本小児科学会より)。また、2歳以上の子どもでも、遊びに夢中になってしまうと、マスクを外すこと、水分を補給することを忘れてしまいますよね。あなたを含めた大人が気にかけてあげないといけませんね!ただ、ここで、大人側にも注意喚起しときます。子どもに水分補給の行為をしていると、あたかも、自身が水分を摂っていると、脳が錯覚してしまう現象が起こりやすいのです。このようなケースで、救急搬送されている事例がありことを忘れないで。あなた自身も、意識して、こめまに水分をとってくださいね。

熱中症はいつでも起こりうる

では、次に、実際に起こった、熱中症による救急搬送状況を(2019年5月~9月)を見てみましょう。 熱中症による救急搬送人員の累計は71,317 人、年齢区分別でみると、高齢者(満65 歳以上)が最も多く52.0%、次いで成人(満18 歳以上満65 歳未満)34.9%、少年(満7歳以上満18 歳未満)(12.2%)、乳幼児(生後 28 日以上満7歳未満)(0.9%)の順となっていた。 また、発症場所別では、住居が最も多く(38.6%)、次いで道路(15.6%)、屋外(12.5%)、仕事場(10.4%)の順であった。 さらに、医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員を見ると、 軽症(外来診療)が最も多く63.5%、次いで中等症(入院診療)で33.2%、重症(長期入院)は2.6%、死亡では(0.2%)であった。(総務省消防庁 報道資料 2019年11月6日) あくまでも、昨年の実態ではあるが、熱中症発症場所を、保育の環境に当てはめてみると、保育室、散歩、園外保育とったシチュエーションでは、やはり、熱中症の対策が必須であることがわかります。 今年は、そこに、「マスク着用」と、梅雨の長期化により、「高温に慣れていない身体」という要素が加わることで、熱中症の危機が、より身近に迫ってきているのです。 消防庁の報告どおり、傷病者搬送の大半は、軽症ではありますが、症状が進行する熱中症は、重症化や死亡のリスクを兼ね備えている点が、COVID-19と同様厄介であります。 だからこそ、熱中症の症状と対処法、そしてその対策を、保育者として押さえておこないといけませんよね。

熱中症の症状と対応

熱中症には、症状により1度~3度まで分類されます。

Ⅰ度【軽傷:発汗 平熱 意識障害なし】

*熱失神:■めまい ■立ちくらみ ■汗がどんどん出る ■気分の不快 *熱けいれん:■筋肉痛(こむら返り、足がつる) ■手足のしびれ ⇒応急処置 ① 涼しい場所に移動し、仰向けに寝かせる。 ② 3点クーリング(服を緩め、保冷剤などで、首〈総頸動脈)、脇〈腋窩動脈)、鼠径部〈大腿動脈)を冷やす)。1つしか保冷剤がない場合は、頭に近い総頸動脈を冷やすこと!(制汗スプレーは「ヒヤッ」となるからといって噴きかけないこと!!) ③ 水分補給 乳幼児、幼児、成人ともに、第1選択水分は、経口補水液です! スポーツドリンクでも代用できますが、経口補水液が1番適しています。詳しくはまた後ほど解説しますね。

Ⅱ度【中等度:発汗・40度未満 意識障害なし】

*熱疲労: ■頭痛 ■吐き気 ■嘔吐 ■倦怠感 ■虚脱感  吐き気症状を有することから、感染症胃腸炎と紛らわしいが、力が入らない、飲み物を飲んでも口からこぼれていくなど、普段とは違う点の見極めが重要です。 ⇒対処 経口補水液が飲めない、処置をしても症状の改善が見られない場合は、点滴が必要となるので、早急に病院に受診してください! また、保育の現場で、子どもに市販薬の服用を行うことはありませんが、知識だけ少し提供させてくださいね。 熱中症頭痛では、鎮痛剤で緩和可能との専門家の見解もあるが、熱中症による頭痛は、脱水による血流量の低下からくる脳の酸欠などが原因で起るので、解熱効果を期待して飲ませることはしないようにしてくださいね(熱中症の解熱効果なし)。 ちなみに、解熱鎮痛剤の市販薬として、子どもが飲みやすいチュアブルtypeのものがありますが、3歳未満は禁忌です。ドラッグストアなどで売られている市販薬は、2歳未満の乳幼児は、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合のみ服用させることとしています(厚生労働省2008年7月4日付)。

Ⅲ度【重症:発汗停止 高体温 異常な発汗】

*熱射病:■意識障害(呼びかけ応答なし) ■けいれん ■高体温 ■蛇行歩行になる ⇒対処 119番通報してください!

まずは経口補水液で水分補給!

熱中症には早い発見と水分補給が重要になります。水分補給をするのに一番適しているのが経口補水液です。 経口補水液とは、損失した水分と電解質(電荷をもったミネラル成分のことで、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを指す)が、小腸粘膜で吸収されやすいよう、体液と同等の浸透圧に調整してあります。他の水分では、飲んだ分だけ、体液が薄まってしまうので、体液量である循環血液量が増えてしまいます。そして、その分、尿として排出されてしまので脱水を起こしやすいのです。しかし、経口補水液には、高濃度の電解質が含まれているので、体内に水分が保持できるという特徴を持っています。 また、スポーツドリンクと混同されやすいですが、こちらは、糖類として、単糖類の果糖ブドウ糖液以外に、二糖類の砂糖(ショ糖)も含まれています。なので、その分だけ、消化に時間がかかり、応急処置の場での効果は劣ります。 *経口補水液(乳幼児):アクアライト経口補水:和光堂 ⇒これは、他の経口補水液より、低い浸透圧に調整されているので、より、吸収されやすい特徴をもっています。 乳児では、1Kgあたり30ml~50ml(例:8kgの場合は1日に最低240~400mlの水分摂取が必要です)。幼児では、1日あたり、300~600mlを補給してください。 *小児・成人向け経口補水液:OS-1(大塚製薬)、アクアソリタ(AJINOMOTO) 小児:成人:1日あたり、500~1000mlの水分を摂ってください。
     

その他の水分補給

*乳幼児:授乳中では、母乳やミルクでも構いません。しかし、ミルクは熱を上げる作用もあることも覚えといてください!ミネラル豊富な麦茶や、飲みやすい味の水で薄めたリンゴジュースも適しています(糖類が10%以上含まれているので、吸収をよくすために、半分に薄めたもの)。 乳児においては、脱水(尿がでない、涙がでない、泉門の陥没などのサイン)が観察された場合、直ぐに受診が必要です。 *小児・成人:スポーツドリンクでも構いませんが、上記で説明したように、糖質が多い分吸収に時間がかかることを忘れないでください。 いずれも、嘔吐のある場合や、意識がおぼつかない場合は、無理やり飲まさないことを、約束してくださいね。 このところ、熱中症予防のために甘酒を!とのCMをよく見かけます。当然、アルコール成分が含まれていないので、子どもも美味しく飲めます。ですが、あくまでも糖分が多く含まれているという観点から、応急処置に適したものでなく、予防に適した飲料であることがわかりますと思います。

最後に~手を冷やす熱中症対策~

最後に、熱中症の対策として、この知識を覚えといてください。 それは、「手を冷やす」ことです。冷たい物を持つだけでも良いです。 手のひらには、下記の絵のように、動静脈吻合:AVA(毛細血管を経ないで、動脈と静脈が直にくっいている血管)が存在しています。この血管は、体温調節の作用があり、寒い環境だと、その血管は収縮し、熱を放散させないようにします。逆に、暑い環境だと、その血管は拡張し、体内深部の熱を放出させます。実は、その動静脈吻合を冷やしてあげれば、体内の温度が下がるのです。 本当に、手を冷やすだけで、体温が下がるの?!と思ったあなた。 NHKで行った下記の実験結果を見てください。
(NHKおうちで学ぼう!for School 2019年7月17日)
熱中症の応急処置で示したクーリング箇所である、首、腋窩(わきの下)、鼠径部よりも、動静脈吻合のある(掌、足の指、ほっぺ)を冷やした方が、深部体温が劇的に下がっていることが確認できますね。 このことからも、深部体温(熱くなった身体を冷やす)を下げる方法として、「手を洗う・冷やす」事が、有効であることがわかりました。 コロナ対策の「手洗い」を最大限に活用して、(手荒れの心配があれば、流水だけでも構いません)熱中症からも、あなたと大事な子ども達を守ってください。
(文責:小田原短期大学 准教授 医学博士 三浦由美)