紅葉の候、なぜ、増えている?!「子どもの夏かぜ感染症」と「感染症胃腸炎」 | ももいくジョブ

ワクチン+マスクでコロナは●●●●収束傾向?

11月1日、東京都の新型コロナウイルス感染症の新規感染者が、1年5か月ぶりに1桁となり、「収束」宣言もそんな遠くはないのかなという日々を送れていますよね。 水際対策の緩和(日本に入国する際の待機日数が10日から3日と短縮に)そして、11月の祝日を含む週末から、10か月ぶりに高速道路の料金が3割オフ(普通車など)と、目に見える形で、昨年とは確かに違う「Withコロナ日本」で経済が回り出していることを感じます。 イギリスや韓国では、高いワクチン接種率に反して新規感染者の増加がみられることも根拠に入れ、コロナワクチン3回目の接種対象者は、2回目の接種を終えた18歳以上とする方針で固まりましたね(厚生労働省専門家分科会より)。 ワクチン接種完了率が7割を超えたことで、重症化や死亡に対しての集団免疫を獲得できたのではないか、または、変異を繰り返しながらワクチン自身が自滅した(コピーで増殖する際に働く、コピーを修復する部分がポンコツとなり、コピーのミスによってガラクタのコロナウイルスが増えてしまった)のではないのかなど、様々な有識者が、急激に感染者が減った要因を考察しています。 いずれにせよ、「高いワクチン接種率ではあるがマスク着用率は低い」スタイルをもった諸外国に再感染が見えてくるという現実から、「高いワクチン接種とマスク着用率」という相乗効果によって感染者が急激に減少したというのが、ある程度、納得のいく理由なのかと思います。 読売新聞on-lineによると、米製薬大手ファイザーは、日本で5~11歳の子どもに同社製の新型コロナウイルスワクチンを接種できるよう、承認申請に向けた協議を政府と進めていることを明らかにしたとしています(10月27日)。これは、子どもの命を預かる保育者にとって、少しばかり安心できるニュースですよね。 ただ、保育対象のほとんど(0~4歳)をカバーしきれていない現状には変わりはなく、インフルワクチン接種のようになるには、まだまだ遠いですね。

子どもと手洗い①

感染者落ち込みに貢献している「ワクチン」と「マスク」。その2つの武器を持っていない乳幼児にとって、「手洗い」という基本的衛生管理は特に大事になってきます。 そんなのわかっちゃいるが、衛生習慣が身についていない子に「手洗い」を教えることの大変さ、また、小規模の園になると、ゆったりと時間をかけて手を洗うスペースの確保の難しさなどを抱えながら、毎日忙殺されている保育者も多いと思います。 「コロナはインフルと同じ、アルコールに弱いウイルスだから、手洗いが難しかったら、アルコール消毒で!」という方法も確かに間違ってはいないのですが、以下の感染症たちを見ると、懸念しかないですよね。 19号(9月)で、 (「RSウイルス」の急増は政府肝いりの感染対策「新しい生活様式」導入の影響です!このままでは「急性胃腸炎」の急増もあり得る?)の中でお話しはしましたが、そこから2カ月経ち、気がかりな感染症たちを比べてみることとします。

コロナ以外の感染症の状況

青い表は8月の感染者を表しています。熊本県に限らず、なぜ全国的にRSウイルス感染症が増えているのかという理由と感染症胃腸炎増加の考察(手指衛生習慣によって、胃腸炎原因の1つである食中毒菌の黄色ブドウ球菌が増えてしまっている)をお伝えしました(19号:9月)。 その号では触れなかったのですが、子どもの3大夏かぜである、「手足口病」、「ヘルパンギーナ」、「咽頭結膜炎(プール熱)」の感染も多く確認され、突出して「手足口病」の罹患者が目立ちます。 そのちょうど2カ月後である10月の感染者を表しているのが黄色の表です。 インフルの感染シーズンは11月からなので、まだ、10月下旬でも未発生ですね。今年度は、昨年流行しなかった分、一気に感染者が高まる危険性があるので要注意です。 夏かぜの代表格の「手足口病」は10月に入っても、高い感染者が確認できます。 ヘルパンギーナは、むしろ8月より10月の方が高い感染を示しています。 10月の感染症胃腸炎感染者は、8月から微増しています。 要するに、 ① 昨年激減した感染症は、反動として今年に流行拡大している(RSウイルス感染症、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭性結膜炎) ② 夏かぜの感染症が紅葉の頃に入っても流行している(手足口病の感染者は下がっているが、ヘルパンギーナ感染者は増加している) ③ 感染症胃腸炎は、8月および10月ともに高い ということが言えます。

無敵ではないアルコール消毒

では、ここで、懸念する感染症の病原体とアルコールの関係性を見てみましょう。 ●RSウイルス感染症 ⇒RSウイルス⇒アルコール消毒有効 ●手足口病⇒ エンテロウイルスとコクサッキーウイルス⇒アルコール消毒無効 ●ヘルパンギーナ ⇒コクサッキーウイルスA群⇒アルコール消毒無効 ●咽頭結膜炎  ⇒アデノウイルス⇒アルコール消毒無効 ●感染症胃腸炎 ⇒黄色ブドウ球菌の場合⇒アルコール消毒無効 RSウイルス以外の病源体は、どれもアルコールに強い性質をもっていますね。 と、いうことは、 「子どもの3大夏かぜ感染症とともに感染症胃腸炎が増えているという現実」 それは、昨年流行しなかったから「免疫」を持っていないという理由だけでなく、以下のようなストーリーも考えられるかもしれません。 「乳幼児の衛生習慣の確立が難しい」⇒「手洗いが上手にできず、アルコール消毒に頼ってしまった」⇒「アルコールが効きにくい病源体由来の感染症が流行ってしまった」 石けんと流水による十分な手洗いによってウイルス量を減らした後、アルコールによる手指消毒剤の追加使用ならば効果が期待できます。が、アルコールのみの手指消毒はナンセンスなのです。

子どもと手洗い②

次に、手指衛生が習慣づいた、今時の「手」の傾向についてのお話しをしましょう。 保育者なら誰しもが知っている洗い方(流水30秒)で、小田原短大の学生さん40名協力のもと実験してもらいました。
その結果、手洗いにより、むしろ菌(ゴシゴシ手洗いにより手膜の奥に生息している常在菌が表に出てきてしまう)が増えてしまう学生さんは、67%ととても多く、増加してしまった常在菌の中でも、悪さ(食中毒を引き起こす可能性の毒を出す)をする黄色ブドウ球菌は、手洗いの前の時点で43%も存在しており、手洗いの後でもまだ36%残っていました。 それでもまだ、アメリカ疾病対策センター(CDC)が医療従事者に推奨する手洗い法(9月号記載)よりは、効果のある手洗い法でした。 ただ、覚えといてください。前回も口すっぱく言わせて頂きましたが、手を洗うことによって、むしろ、常在菌である黄色ブドウ球菌も増えてしまう可能性を。そんな手で、子どもたちが口にいれる食材に触れ、それが適切に保存されていなければ、簡単に感染症胃腸炎を引き起こす毒が増えてしまうのです。 手洗い後でなくても、手洗い習慣のある「手」は、既に、手の奥に存在している黄色ブドウ球菌が手の表に出てしまっているのです。この傾向は、感染症胃腸炎が慢性的に発生している仮説の1つに考えることができます。 手洗い、アルコール消毒をしているから大丈夫だ!という過信は、病源体の思うつぼとなり得ます。私たちは、大脳が大きい賢いヒトとして、きちんとそれを覚えときましょうね(笑)。

(文責:小田原短期大学 准教授 医学博士 三浦由美)

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