子どもの細胞にもターゲット化した第4波を生み出した変異ウイルス ~果たして変異株と従来株とは何が異なるのか~ | ももいくジョブ

猛威をふるう変異株ウィルス

「日本医師会の中川俊男会長は4月14日の記者会見で危機感をあらわにした。 大阪府によると、府内では16~18日、新規感染者の79・7%が変異株で、主に感染力などが高いといわれる英国(イギリス)株に置き換わってきている。14日公表の資料では、変異株への感染者のうち10歳未満は6%、10代は12・9%と、合わせて18・9%を占めた。英国(イギリス)株がまん延する前に主流だった従来株が流行していた昨秋以降の第3波(昨年10月~今年2月)では、10歳未満が2・7%、10代が7・3%と計1割で、子どもの急増ぶりが際立つ。関西地方では、大阪以外でも英国株への感染が急増する」 (毎日新聞4月20日より引用一部改変) 上記のような記事が騒がれ前の2021年3月23日、日本小児科学会予防接種・感染対策委員会より、「子どもと新型コロナウイルスの変異株の感染」についての見解が示されていました。 「変異株は、これまで流行していた株(既存株)に比べ、1人の感染した人から他の人へ感染させる力が強いことが知られています。いくつかの変異株が、世界各地から報告されていますが、英国で流行が始まり、現在、国内でも多く見つかっているものは、最大70%感染力が高い(これまでに比べ、1.7倍の感染力)ことが示されています。国内では、子どもが集まる施設で、この変異株によるクラスターの報告がされ、多くの子どもが感染しています。ただ、変異株が既に広がっている英国ロンドンでは、変異株による感染は、特に子どもに多いということはなく、成人と子どもの感染者の割合は変異株の出現した前後で大きく変わっていません。 また一方で、変異株が子どもに感染した場合、既存株と異なる経過を示すことはないと報告されています。子どもでは感染者の多くが無症状から軽症で、既存株でも変異株でもその違いはありません。頻度の高い症状としては、発熱、せき、鼻水、下痢、頭痛などがあげられます。変異株が子どもにより重い症状を引き起こす可能性を示す証拠はこれまでに得られていません。 変異株への対策は、これまでと変わりはありませんが、特に感染力が強いウイルスは、感染対策が上手くできない小さな子どもへの感染の広がりが心配されています」 こんな感じに、変異株関連のニュースが頻繁にメディアに登場するようになってしまいましたね。今の日本は、従来株が猛威をふるっていた第3波までとは異なり、進化版コロナウイルスとの闘い、という新たな段階に入ってしまったこと、あなたもお気づきと思います。

マスクの種類と飛沫

変異株のうち、イギリス型(N501Y)は従来株と比べ、ヒトの細胞に結合する力は、5倍強く、その分感染症に至り、重症化する確率も1.3~2倍高いとの報告があります。この結合力の強さゆえ、全ての年代に、容易に短期間で感染しやすく、既に、東京都は従来株からこのイギリス変異型に、約60%も置き換わっています。(2021年5月3日現在) その「感染しやすさ」の要因となっているのが、「マイクロ飛沫」という粒子です。 ここ最近、西村経済再生大臣やコロナ分科会尾身会長らがTVに登場し、3密(密閉、密接、密集)が重なる条件でなくとも、感染してしまったケース((例:野外にて、マスクを着用しBBQをしていたが、感染してしまった⇒この場合、3密の内。「密接」、密集」の2つが該当)があることを訴えていたと同時に、如何に、「出歩かない」、「人と会わない」ことが大事であること、そして、ウレタンマスクでなく、飛沫カット効果の高い「不織布マスク」の着用を強く、お願いしていました。 尾身会長は特に、1.5mしか飛ばない飛沫(従来型)よりも、第4波のイギリス変異株は、マスクから吐き出しやすく、吸いこみやすいマイクロ飛沫の危険を訴えていました。 そこで、以下に「マスクの違いによる効果」(時事ドットコムニュース5月2日より)を示してみますね。 確かに、不織布マスクはウレタンマスクより、吐き出し・吸い込み飛沫量の遮断に、効果があることがわかります。 確かに、不織布マスクはウレタンマスクより、吐き出し・吸い込み飛沫量の遮断に効果があることがわかりますね。 因みに、著者は、従来株感染の第3波までは、「生活の質」を落とさないため、服に合わせた「布マスク」のみを着用していました。けれど、変異株蔓延の昨今では、不織布マスクの上に布マスクを重ねるといった「二重マスク」で教壇に立っています。

ウィルスの変異

2021年5月5日現在、イギリス(約50(接種率約2.0%).1%)そしてアメリカ(約44.1)とワクチン接種率(1回以上接種した割合)の高い国では、日常生活にシフトしつつあります。一部の地域では、緊急事態宣言下、そしてまん延防止重点措置下が続く日本でも、ようやくゴールデンウイーク明けから、高齢者を対象にワクチン接種が本格的になります(NHK Our Word in Dataより)。 日本で接種可能なファイザー社(アメリカ)のワクチンは、約30種類の変異株を含め、発症効果が認められたものです。ですので、イギリス変異株に対しても適応可能といわれています。しかし、インド在住の日本人女性死亡(40代)そしてインドからの帰国者死亡(50代男性)をだしてしまった、2重変異をもつインド株に対しての効果は不透明です。このインド変異株は、欧米人が罹患しやすかった従来株とは異なり、アジア人遺伝子(抗原を攻撃する免疫細胞の強さ)に適応して進化(アジア人に感染しやすい)という報告もあることから、多くの欧米人を対象に開発されたファイザー社ワクチンに、効果があるという根拠は少ないのが現状です。変異株はこの2つ以外にも、南アフリカ型、ブラジル型が確認されています。このことからも、ワクチンを他国に頼るのではなく、自国の日本で開発を、と政府から声があがるほど瀬戸際に立たされているのが我が国、日本です。

保育現場にいるあなたに

子どもにも容易に感染するようになったイギリス変異株。子どもとの身体密着が多い保育の現場では、子どもから大人(職員)へ、感染を広めてしまう可能性は否めません。保育者の口の動きが見えないと、子どもに不安を与えてしまう等の理由で、マスクを着けない保育現場も少なくないですが、食事の介助など、特に子どもの唾液が飛びやすい場面では、マスク装着こそが、あなたを守る唯一の武器になるということを覚えといてください。

さいごに

忘れがちですが、新型コロナウイルス感染症の1割は、接触感染であり、紙幣で1週間、段ボールでは24時間、コロナウイルスが付着しているとの報告があります。ですので、人と会わないから大丈夫といっても、「1人で買い物に行く」とか、「ネットショッピングをする」といった機会でも、「消毒」という基本が抜けてしまうと、感染するチャンスをウイルスに与えてしまっていることになりますよね。 新型コロナウイルス感染症の特効薬がない今、私たちは、ワクチンを最後の砦としていますが、あらゆる感染経路遮断のベースにあるものは、「手指消毒」です。仕事場(保育現場)では、手指衛生の対策はきちんとしているけど、プライベート(1人で家に居るなど)になると、忘れがち、いや、人間がもつ「私は大丈夫、感染しない」と、つい認知してしまう「正常バイアス」によって、怠りやすい手指消毒こそが、やはり一番大事なんだと思い直してください。消毒アルコールは、変異株でも効果はあります。だって、新型コロナウイルスは、アルコールで壊れる脂膜をもつエンベローブウイルスなんですから!(医療従事者の中には、携帯型消毒ジェルを斜め掛けし、いつでもどこでも消毒できるようにしています)。 正しい手洗い方法については過去のブログも参考にして下さい。 https://momoiku.jp/contents/wash01 因みに気付いていましたか?インフルエンザ対策でよく行う「うがい」が、新型コロナの対策に含まれていないということを。うがいのガラガラによって、飛沫が空気とまじり、エアロゾルという粒子となって、空気中に長い間(3時間)漂ってしまったケースからの感染(エアロゾル感染)が認められたので、対策に含まれていないのです。クラスター発生の多くの場が、「手洗い場」であったという事実は、「うがい」が原因の1つであることを物語っていますよね。

(文責:小田原短期大学 准教授 医学博士 三浦由美)

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