ももいくジョブ

「大流行になる前に!自分たちでできる感染症対策」

次は「命を護れる保育者」を目指してみませんか? これは、医学部人体解剖学出身の「人間が好き、だからこそ疾病(しっぺい)が好き」という私(「こどもの保健」を担当)から、このブロブを読んで頂いているあなたへのメッセージです。 預かった子ども命を護るには…これは、あなた自身の危機管理能力が備わっていないといけません。今回まさに、その能力が試されます。 新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)感染拡大期の真っただ中の今こそ、「大流行前に!自分たちでできる感染症対策」いや、あえて、頂いたプログのタイトルを変え「パンデミック(世界大流行)の前に!感染拡大期にできる感染症対策」という危機管理の内容を綴っていきたいです。 今一度、感染症について学びなおしていきましょう。 感染症発症には、以下の3要因が必要になります。 ①病原体(感染症の原因となる細菌やウイルス等。) ②感染経路(病原体が人間の体に入るまでの経路を指す。例:飛沫感染、接触感染等) ③病原体に対する敏感度(敏感度が高ければ、感染症に罹りやすい、一般に、抵抗力が高いということは、病原体への敏感度が低いと解釈する。) なので、感染症発症には、この「3つを封じ込める」事こそ「対策」になるのです。 今、全世界の人間を不安に追い込んでいる、未知なるウイルスによる感染症、新型コロナウイルス肺炎を例に挙げて、その対策を探っていきましょう。

①病原体と対策について

(1)病原体:新型(変異)コロナウイルス インフルエンザウイルス同様にコロナウイルスは、RNA遺伝子の外側に脂質性被膜:エンペロープ(封筒の意味)をもち、生きた細胞に寄生し増殖します。RNAをもつウイルスは、細菌等の病原体とは違い変異を得意とし、アルコールや界面活性剤である石鹸で失活しやすい(脂質性エンペロープに覆われているので)特徴をもっています。2002年に中国広東省から発生し、世界32国で大流行したSARSや2012年中東から発生したMERSもコロナウイルスが変異したものでした。 (2)病原体対策⇒エンペロープウイルス全般、アルコールや石鹸で活性が抑えられるので、これらを最大限利用し、空間やテーブル、ドアノブなどの対象物、そして様々な場所に触れる手に対して病原菌の封じ込めを行って下さい。ただ、感染拡大期の最中、消毒アルコールが手に入らない場合も多いでしょう。ノンアルコールタイプ除菌剤(クロルヘキシジングルコン酸は、一般細菌には効果があるがウイルスには無効です。)でも、少量ではありますがウイルス除去は可能です。しかしながら、当然ウイルスを死滅させているわけではありません。ノンアルコールタイプでも、弱酸性次亜塩素酸成分の除菌剤ならば、空間や汚染されている対象物において除菌できます。また、消毒用アルコール(70%~80%)の代替として、アルコール度数の高い(90度以上)ウオッカ等のお酒も、発酵アルコールであるため殺菌効果は期待できますが、現実的ではありません。

②感染経路

A 飛沫感染:罹患した患者のくしゃみや咳から感染する。 その対策として… ⑴ SARS(下気道感染)とは異なり、新型コロナウイルス肺炎は、市中感染(感染経路が追えない感染)と、下気道だけではなく上気道に、より多くの感染巣(かんせんそう)が認められた特徴を持つことから、咳嗽、微熱等の一般的な風邪の症状を呈しやすく、感染が容易に拡大したとの報告があります(免疫が高い10~30代で、感染に気づくことなく、外に出歩いてしまう事が理由)。だからこそ、「マスクの正しいつけ方」は必須になってきます。ただ、残念なことに、マスクはしているものの、鼻まで覆っていない方々をよく見かけます。特に、今回のウイルスは、咽頭より鼻腔内で多く検出されたとの報告もあるので、鼻まできちんと覆うよう心掛けてください。 ⑵ 室内に飛散されているウイルスを排出する目的として、「こまめな換気」も対策として大事です(1から2時間おきに15分程度)。 B 接触感染:ウイルスに汚染した場所を手で触ってしまうことで感染。 その対策として… 手指消毒のため「手洗い」が大事になってきます。「こどもの保健」の授業でも習ったように、正しい手洗い(流水にて30秒間)は徹底してもらいたいです。その後、消毒用アルコールを、手洗いと同様の手順で、十分、手指に馴染ませて頂きたい(揮発性が高いので素早く行う)。また、おもちゃ、調理器具などを消毒するときは、次亜塩素酸ナトリウム水(0.02%)に10分程度浸し、その後、水で洗い流して下さい C 糞口感染:ウイルスを含む糞便が手指を介して口に入ることで感染。 その対策として… 糞便が付着したトイレなどは、次亜塩素酸ナトリウム水(0.1%)をたっぷり含ませた新聞等で拭いた後、水拭きをしてください(手袋・マスクの着用を忘れずに)。 また、ノンアルコールタイプ(弱酸性次亜塩素酸水)の除菌剤でも効果が期待できます。

③病原体に対す敏感度→抵抗力(免疫力)

感染者約4万人の分析結果から、新型コロナウイルスの致死率は以下の通りわかってきました(中国疾病予防センター出典)。 全体の致死率:2.3%、9歳以下:0%、10~30代:0.2%、40代:0.4%、50代:1.5%、60代:3.6%、70代:8.0%、80代:14.8% もう一度、「スキャモンの成長曲線」を思い出してほしい。20代にピークを迎えそれ以降、免疫細胞の老化が始まるという事実を。このことからも、抵抗力の低い高齢者で、高い致死率を示していることに納得がいくと思います。カギは、免疫力を落とさないことなんです。 その対策として… 免疫を高めるため、以下の3点が大事になってきます。 ⑴ 栄養:腸内(免疫細胞存在)を整える食べ物:発酵食品*(ヨーグルト、納豆、味噌汁等)や食物繊維*(腸の掃除の役目を果たす、海藻や果物等)を積極的に摂取して下さい。 ⑵ 休養:ストレス高まると自律神経を乱してしまい、腸内環境の悪化を助長してします。だからこそ、十分な睡眠(眠いと思ったら30程度の仮眠もOK)を確保しながらストレスをフリーな状態にもっていくことが大事です。  (*これらは新型コロナウイルス発症を予防する直接的な食材ではなく、あくまで抵抗力をあげるための食材です。) ⑶ 予防接種;インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを接種することにより、これら病原体の抗体が産生され、全体的に抵抗力が高まります。

まとめ

2月下旬から1~2週間は、感染が爆発的拡大を呈すか、感染が終息に向かうのかの瀬戸際にいます。(WHOの見解では、パンデミック【世界大流行】 の潜在的な側面にいると報告)。感染症状がなくても、他の人を感染させてしまう危険性が高い今回のウイルス。自分は症状がないから…ではなく、当事者意識を常に持って、未知のウイルスを日本から封じ込めていきましょう。      自分の命を護れてこそ、大事なこどもの命を護れる保育者になれるのです。 (文責:小田原短期大学 博士(医学) 准教授 三浦由美)